2015.07.24賃貸建物オーナー様へ
賃貸建物は、15年程度経過すると下記の要因等により、キャッシュフローが悪化する恐れがあります。
○大規模修繕(外壁塗装や防水工事)の実施
○各種設備の交換
○退去後リフォーム費用の負担増加
○賃料収入の減少(賃料水準及び稼働率の低下)
○減価償却費の減少(設備の減価償却が終了)
一番の問題は、高額なお金をかけても、賃料を上げることができないなど、なかなか収入アップに結びつかない点にあります。故に、普段は必要最小限の補修に止め、補修での対応が困難になった時点で、大規模修繕や各種設備の交換を実施するケースは少なくないと思います。
このケースの問題は、緊急の対応を迫られるため、高額支出が伴うにも関わらず、選択肢の幅を広げられず、後悔が残る結果となる恐れがある点です。仮に、早い段階から検討していると、業者の選択や繁忙期を避けることも検討でき、費用を削減することが可能となります。また、補助金利用の可否や電気料金等の維持管理コスト節減を考慮したうえでの判断も可能となります。
しかし、早い段階から検討しようとしても、お金がなければ検討できません。理想をいえば、キャッシュフローが良い間に、将来必要となる修繕費を積み立てるべきなのですが、大規模修繕等をするときになってから不足が発覚したのでは、反省することしかできないと思います。
私がその様な場面に遭遇した場合、10年先程度までの修繕費予測と現在の売却価格査定を行います。何れの結果も所有者の方にとって、厳しい内容になる場合が多いですが、継続所有と売却という究極の選択を迫ることにより、検討を先延ばしにしていたことが検討不可避なことへ変化し、かなりの確率で決断して頂いております。
継続所有を選択されると、自己資金で行える修繕計画を立てたり、現在の借入金を増額借換することにより資金を調達したりします。最近、賃貸建物は推定相続人にあまり好まれていない様で、査定価格によっては、売却を決断される場合もあります。
工事費や不動産価格は、景気動向によって変動します。時間的余裕があれば、より有利な時期に実行することが可能になります。難しい決断であるだけに、より多くの選択肢を得るため、早めに検討することをおすすめします。